「巨神計画上・下」本

『巨神計画 上・下』

<ストーリー>

 少女ローズが偶然発見したのはイリジウム合金で出来た巨大な“手“だった。やがて物理学者になったローズによってこれが人類のものでなく6000年以上前に何者かが残していった巨大人型ロボットの一部だと判明する。そして、アメリカは世界各地からパーツを集め始める・・・

<コメント>

 人間が乗り込んで戦う巨大ロボットは男の子のロマンである。しかし、実際には巨大ロボットというのは製造しても兵器としてそれほど現実的ではないのでシリアスなSF小説ではほとんど出てこない。あくまでも特殊な形で進化した日本のアニメでのみ活躍する存在であった。しかし、外国人がそんな日本のアニメに魅了され、一生懸命考えてこれをシリアスなSFに登場させ始めた。小説『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』においては“日本が征服した世界だから”という理由だけでなぜか巨大ロボットが格闘する。

 本作もそんな日本のロボットアニメに魅入られたアメリカの作家が丁寧に巨大ロボットが現実に出現するという話を描いて見せた。

 あとがきや解説には書いていないが、設定を見て「あ、イデオンだ」と思ってしまった。『機動戦士ガンダム』でシリアスなロボットを描いた富野由悠喜監督が次の作品として全高100メートルのロボット“イデオン”のデザインを呈示され、「異星人の遺跡以外にありえない」として作劇したのだが、確かに異星の遺跡であれば巨大な女性の姿をしたロボットであっても仕方がない。

 この作品を読んで感心したのは全編をインタビュー形式で構成していることで、確かに挿入されるアクションシーンなどは迫力に欠けるけれども、全世界の地下に埋もれている巨大なロボットのパーツを集め組み立て、パイロットを養成して操縦を習得させるという物語をリアルに描くためには仕方がない。

 その代わり、インタビューによって多数の人間を登場させてそれぞれの視点からの意見で物語を重層的に描いていくという効果がより一層物語にリアリティを与えてくれる。

 特に“強大なパワーを持った異星人のロボットをアメリカが作っている”ということによる世界のパワーバランスの変化やアメリカの対応、そして計画内部からの陰謀やロボットの出自を巡る謎の存在からの警告など下手に書いたら見ていられなくなるような展開をインタビュー形式にすることによって抑制を効かせて読ませてくれるのである。

 さて、いざロボットが稼動するようになったところで本作は終わるけれども、これは日本のロボットアニメでいうなら第一話の冒頭からせいぜいBパートのあたりである。もちろんこの先はあるということでいよいよ巨大女性型ロボットが活躍するという次作が楽しみで仕方がない。

 果たして日本のロボットアニメを越えることが出来るのだろうか?

巨神計画 文庫 (上)(下)セット